聞きなれない審判離婚|どのような場合に行われる?
離婚の方法を調べると「協議離婚」や「調停離婚」「裁判離婚」などが出てきて、どれも聞いたことがある言葉だと思います。
実はこの他に「審判離婚」があり、こちらはあまり聞き慣れないのではないでしょうか。
今回は聞きなれない審判離婚の内容について、またどのような場合に行われるのかも併せて解説します。
審判離婚とは
審判離婚は、離婚調停でほぼ合意ができたにも関わらず、わずかな意見の食い違いが原因で調停が不成立になる場合に利用されます。
ここからは、審判離婚について詳しく説明していきます。
離婚の流れと審判離婚
離婚するために、いきなり裁判を起こすことも可能ですが、通常は次のような順番で行います。
①協議離婚
まずは当人同士で話し合いをし、財産分与や慰謝料、養育費など離婚の条件を決めます。
お互い合意できれば、離婚は成立します。
②調停離婚
当人同士での話し合いが合意できなかった場合や、話し合いさえできない場合は、調停離婚を行います。
家庭裁判所に申し立てをして、調停委員が夫婦の間に入り離婚条件についての調整をし、合意を目指します。
③審判離婚
調停でほぼすべての条件が合意できたにも関わらず、些細なことが原因で調停が成立しそうにない時に行われるのが審判離婚です。
調停が成立しない場合は、もう一度話し合いをするか、裁判を起こすかのどちらになります。
ほとんどの条件が合意しているのに裁判を起こして、これ以上の労力や時間がかかることのないよう、解決のために家庭裁判所で審判を下すものです。
④裁判離婚
調停離婚が成立しなかったり、審判離婚に移行しても解決しなかった場合は、裁判に移行することになります。
審判離婚が少ない理由
前項で解説した通り、審判離婚は離婚方法のひとつですが、あまり聞き慣れないのはどうしてでしょうか。
審判離婚が利用されるのは、離婚についての合意があるのに調停が不成立になる場合です。
夫婦の意見がかみ合わず、離婚に合意できずに調停が不成立になるケースがほとんどのため、審判離婚に該当する例が少ないことがその理由と考えられます。
審判離婚はどんな場合に行われる?
あまり行われないとはいえ、審判離婚が行われることはあります。
審判離婚が行われるのは、次のようなケースです。
- 離婚の合意ができているのに、一部の条件だけが合意できない時
- 離婚の合意ができているのに、当事者どちらかが病気などで調停に出席できない時
- 子どもの親権などが理由で、早く解決した方がいいと判断された時
- 感情的な問題だけで合意できない時
審判離婚の手続と流れ
審判離婚は、次のような流れで行われます。
①離婚調停の申立
審判離婚は、裁判官の職権により行われるため、当人の申し立てで行うことはできないため、まずは離婚調停をする必要があります。
ただし、調停中に審判を希望することは可能です。
裁判所による審判確定
調停の経緯や、当人からの審判の希望などを踏まえ、裁判官が妥当と判断した場合、審判が下されます。
審判が下されると、夫婦双方に審判書が郵送され、それを受け取った翌日から2週間以内に異議申し立てがなければ審判が確定します。
離婚届提出
審判が確定したら、10日以内に離婚届を提出します。
正当な理由がなくこの期限を守らなかった場合は、5万円以下の過料が科せられるので注意が必要です。
審判離婚にかかる費用
審判離婚は調停の申し立てにかかる費用とほぼ同じで、以下の通りです。
申し立て費用
1,200円の収入印紙と、連絡用の郵便切手代がかかります。
これは調停にかかる費用のため、審判に移行しても別途費用はかかりません。
弁護士に依頼した場合の費用
協議離婚や調停離婚の、どの時点で依頼するか、離婚だけでなくその条件の調整もするかなどによって、金額が異なります。
調停離婚の弁護士費用の相場は着手金、成功報酬それぞれ20万円~50万円で、事案の複雑さなどにより増減することがあります。
まとめ
今回は、あまり聞きなれない審判離婚の内容について、どのような場合に行われるのかと併せて解説しました。
審判離婚は調停離婚において、一部の条件のみで合意できない時などに行われるものです。
離婚問題が裁判にまで達すると、精神的にも肉体的にも疲弊してしまうので、わずかな相違であれば審判離婚は有効な方法と言えます。
しかし、一部の条件のみを残して調停離婚が合意できないことはほとんどなく、審判離婚が利用されるケースはごくわずかです。
離婚はそのケースによって、さまざまな問題に直面するものなので、トラブルになる恐れがある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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