家賃滞納の時効は何年?強制退去させることはできるか
現在不動産賃貸をされている方には、賃借人の家賃滞納に悩まれている方もいらっしゃると思います。
当記事では、家賃滞納の時効や強制退去について詳しく解説をしていきます。
家賃滞納の時効
民法では消滅時効の時期は5年と10年が規定されています。
それぞれの違いは主観的要件か客観的要件かとなっています。
5年の消滅時効は債権者が権利を行使できることを知った時から起算していきます。
他方で10年の消滅時効は債権者が権利を行使できる時から起算していきます。
賃貸借契約のような継続的給付契約の場合には、契約が解除されない限り賃料の支払い日が常に更新されることとなり、原則として家賃の消滅時効は5年ということとなります。
そして、滞納分の家賃は支払われるともっとも古いものから充当されていきます。
家賃滞納者を強制退去させることはできるか
家賃滞納者に対しては、早く出ていって欲しいというのが賃貸人の合理的な意思かと思います。
家賃滞納者に対しては強制退去をさせること自体はできますが、いくつかの手順をとる必要があります。
その理由としては、賃貸借契約のような継続的給付契約の場合には、いきなり契約を解除すると、いくら家賃滞納者とはいえ急な引越しを要することとなるため、信頼関係を破壊するほどの契約違反がなければ契約を解除することができないという、信頼関係破壊の法理というものが採用されているからです。
また、単に一月分のみ滞納しているだけでは強制退去は難しく、目安としては3ヶ月分以上の滞納がある場合に強制退去をさせられる可能性が高くなります。
では、実際に家賃滞納者を強制退去させるまでの手順について解説をしていきます。
①滞納者への督促
まずは滞納者に対して滞納分の家賃を支払うように直接交渉をしましょう。
交渉の方法は直接訪問する形や電話で連絡を取る形でも問題ありません。
もっとも早朝や夜遅くに訪問することは脅迫や強要となってしまう可能性もあるため、交渉の時間帯に関しては注意が必要となります。
この段階で単に支払いを失念していただけで、支払ってもらえる可能性もあります。
②保証人への連絡
滞納者が支払いに応じてくれないような場合には、保証人に連絡をしましょう。
この段階で保証人に滞納分を支払ってもらえる可能性もあります。
③内容証明の送付
保証人に連絡をしても効果がない場合には、内容証明を送ります。
このとき、配達証明付き内容証明郵便にしておくことで、裁判へと発展した場合に、相手が「支払いの督促がなかった」と言い逃れをすることを防ぐ効果があります。
また、内容証明郵便は弁護士に依頼をして送付してもらうことによって、相手に心理的なプレッシャーがかかり、この段階で支払ってくれる可能性もあります。
④契約解除と明渡請求訴訟
内容証明郵便に記載した期間内に滞納分の家賃が支払われなかった場合には、賃貸借契約が解除されることとなります。
契約が解除されると明渡請求訴訟を提起することとなります。
明渡請求訴訟では、単に建物を返してもらうだけでは足りないため、強制執行によって部屋の中に残っているものを売却することで滞納分の家賃に充当することを可能にするために、滞納家賃の支払いについても請求をすることが可能です。
不動産トラブルはアーチ日本橋法律事務所にご相談ください
家賃滞納者の強制退去については弁護士に依頼をすることがおすすめです。
その理由としては、上述したように内容証明郵便送付の際に、弁護士が委任を受けた旨の記載があることで、家賃回収の可能性が高まる点にあります。
そのほかにも明渡訴訟になった際には、必要書類の収集などをしなければならないところ、煩わしい手続きをすべて弁護士に任せることができるというメリットがあります。
アーチ日本橋法律事務所では、家賃滞納者への対処をはじめとする、原状回復費用や敷金返還請求などの賃貸借契約に関するトラブルについても専門的に取り扱っておりますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
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