共有不動産の分割
共有とは、2人以上で不動産を所有している状態を指します。
そして共有者のひとりが共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいます。
共有物分割請求が提起された場合には、判決に強制力が伴うため、共有権を否定された共有者は共有状態の解消に応じなければなりません。
当ホームページでは共有不動産の分割について詳しく解説をしています。
◆不動産が共有物となるケース
被相続人の遺産がほとんど土地や建物であった場合に、売却などによって換金をしないままであれば、相続人間で不動産が共有状態となります。
被相続人の葬式などで忙しく、とりあえず相続人間で共有状態にすることで合意をし、しばらくはトラブルがなかったとしても、その後にさまざまな事情によって「現金化したい」「土地を別の目的で利用したい」といった意見が出てくるということがあります。
そのほかには、離婚時に今まで共に生活をしていた住まいを処理するかについて、しっかりと協議をしないまま離婚が成立してしまった場合には、建物が共有状態のままとなってしまいます。
そしてその後に(元)夫婦の片方が、建物やマンションに住み続けるというような事例があります。
このように共有状態となった後に、共有者のさまざまな事情によって、不動産の分割状態を解消することとなるパターンが非常に多くなっています。
◆共有分割請求の解決に向けた流れ
・共有物分割協議
共有物分割請求があった場合には、共有者全員でしっかりと共有物分割協議を行い、お互いの主張を確認しながら、共有状態の解消に向けて話し合うことが重要となります。
この話し合いでは、当事者が自身の主張をぶつけ合うこととなるため、冷静に話し合いができない可能性があります。
そのため、弁護士に相談をすることで、協議に参加をしてもらうことで、スムーズに話し合いを進めることができるため、検討しておくと良いでしょう。
・共有物分割調停
話し合いによる協議がまとまらなかった場合には、いよいよ裁判所を利用することとなります。裁判所に調停を申し立てて、調停委員を交えて解決を図ります。
しかし注意しなければならないのが、調停には強制力がないため、裁判に移行しても調停の内容が訴訟に反映されないことから、弁護士は調停よりもいきなり訴訟の提起を推奨することが多くなっています。
・共有物分割訴訟
協議がまとまらなかった場合や調停が不調に終わった場合には、共有物分割訴訟を提起することで解決を図ることとなります。
基本的には裁判所から和解を勧められ、解消の方法についての和解協議を行います。
和解が難しい場合に、判決によって共有状態の解消方法が決定します。
また共有物分割訴訟は、固有必要的共同訴訟と呼ばれる類型となっています。
固有必要的共同訴訟とは、権利関係の確定のために当事者たる数人が必ず原告または被告とならなければならない訴訟の形態です。
共有分割訴訟の場合には、2人の共有であれば特に問題となりませんが、3人以上の共有者がいる場合には、全員が訴訟に参加しなければならないため注意が必要です。
◆共有物分割の方法
共有物分割の方法としては、「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。
・現物分割
現物分割とは、土地などの共有不動産を物理的に2つ以上に分け(分筆といいます)、それぞれの共有者が単独で所有する方法のことを指します。
土地を分筆するには、境界確定の測量、分筆案の作成、隣地土地所有者の立ち会いや同意、境界標の設置、法務局への申請などのやや複雑な手続きが必要となります。
しかしながら、分割の場合にはマンションや収益物件のアパートであることから、物理的な分割ができないといった問題や、土地を分割した結果、建蔽率や容積率の問題で新たに建物を建築することができなくなり、土地の価値が下落してしまったといったようなトラブルが発生してしまうことがあります。
・代償分割
代償分割とは、共有者のひとりが他の共有者の持分を買い取ることで共有の解消を図るという方法です。
代償分割には「一部価格賠償」「全面的価格賠償」の2種類があります。
一部価格賠償は、現物分割をした場合に、共有者の取得金額に差があるような時に、持分を上回る価額の現物を取得する共有者に、その超過分の対価を支払ってもらうことによる分割方法となります。
全面的価格賠償は、共有者のひとりが単独で不動産を取得し、他の共有者に対して、共有持分に応じた価値の金額を支払う分割方法となります。
しかし、この方法は代償金を支払う共有者に、支払うだけの資力がないような場合には、難しい方法となっています。
・換価分割
換価分割とは、共有物を全て売却することで、その売却によって得られた金銭を、共有者の持分割合に応じて分配する方法となっています。
共有不動産の売却には共有者全員の合意が必要となります。
この方法はしっかりと持分権に応じた金銭がしっかりと支払われることから、客観的であり、かつ、もっとも不公平な方法といえます。
しかし、土地を何らかの理由で所有し続けたい共有者がいる場合などには、意見がなかなか合わず、手続きに時間がかかってしまうというデメリットがあります。
共有物分割請求訴訟で判決を得た場合には、強制的に売却手続きをすることもできます。
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