不動産売買で契約不適合になるケースとは?買主にできる対応についても解説
家や土地を購入した後で「聞いていなかった不具合が発覚した」という事態が起こると大問題です。このような状況下で重要になる法的概念が「契約不適合」であり、契約不適合が認められると損害賠償請求などの対応が可能となります。
実際のところどのようなケースでこの契約不適合が認められるのかをみていきましょう。
契約不適合とは何か
契約不適合とは、売買契約で引き渡された物が「契約の内容に合っていない状態」を指します。
民法562条以下に規定されており、種類・品質・数量のいずれかが契約内容と異なる場合に当てはまります。
2020年4月より前は、同様の場面について「瑕疵担保責任」と呼ばれる制度が適用されていました。以前は「買主が知らなかった隠れた欠陥」が対象とされていたのですが、契約不適合責任として定義されてからは、「契約の内容に照らして合っているかどうか」が基準になっています。
つまり、買主が欠陥を知っていたかどうかよりも、契約書や重要事項説明書にどう記載されていたかが重視されるようになったのです。
結果として、売主にとっては「とりあえず現状有姿で売った」では責任を免れないケースが増え、買主がより広く保護される形となっています。
契約不適合と判断されるケース
不動産売買においてどのような場面で契約不適合が問題になるのでしょうか。該当し得るケースをカテゴリ別に紹介します。
建物の物理的な欠陥
建物に関するトラブルでありがちなのが、雨漏りやシロアリ被害、腐食や設備の不具合などです。
たとえば、契約書や重要事項説明書に「雨漏りなし」と記載されていたにもかかわらず、引き渡し後に雨漏りが発覚するような事例は、契約不適合の典型例といえるでしょう。
雨漏りを売主が認識しながら告げなかったケースではもちろんですが、知らなかったとしても、「契約で合意した状態」でない以上、原則として売主側に責任が発生します。
なお、免責特約を設けることにより売主の責任を免除することも部分的に可能ですが、対象物件が新築住宅の場合はこの特約も無効となります。
※新築住宅には住宅品質確保法が適用され、引き渡しから10年間は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について免責特約を設けても無効になる旨規定されている。
土地に関する問題
土地は建物のように構造上の欠陥などは生じにくいですが、たとえば土壌汚染などを理由に「土地が通常有すべき品質を有していない」と、契約不適合に該当するケースがあります。
※通常は有害物質が法令の基準値を超えているときに該当するが、基準値を下回る濃度でも、買主が予定していた土地利用に支障をきたすほどの問題があれば売主の責任が問われる可能性がある。
土壌汚染のほかにも、以前建築されていた建物に関する基礎・廃棄物・排水管などが後から発見され、契約不適合に該当する可能性があります。
法的な制限や越境の問題
物理的な欠陥がなくても、法令上の規制などが問題となり契約不適合に該当するケースがあります。
たとえば「建築基準法上の要件を満たしておらず建物を建て替えられない土地を、説明不足のまま売却した」といったケースです。
ほかにも、「建物の一部や塀、排水管などが隣地にはみ出している」、逆に「隣地からはみ出している」などの状態にあって、その事実が契約書に記載されていなかったケースでも該当し得ます。
契約不適合に対して買主ができること
契約不適合が認められるとき、買主は売主に対して次のいずれかまたは複数の対応を求めることが可能です。
買主にできる対処法 | |
|---|---|
追完請求 | ・修補(修理してもらうこと)を求める ・不動産の場合は代替物への交換が難しく、修繕が中心になる |
代金減額請求 | ・売買代金を後から減額してもらう ・追完を求めたが応じない場合や修補が不可能な場合に検討する |
損害賠償請求 | ・被った損害分に対し金銭での賠償を求める ・売主に帰責事由(過失などの落ち度)がある場合に可能 |
契約解除 | ・契約自体をなかったことにして返金してもらう ・追完を催告しても応じない、または不適合の程度が重大で契約目的を達成できない、という状況下で検討する |
なお、損害賠償請求は売主に落ち度がある場合にのみ認められますが、追完や代金の減額、解除については売主の落ち度にかかわらず行使できます。
請求可能な期間が短いことに注意
種類・品質に関する契約不適合については、「買主がその事実を知った時から1年以内」に売主へ通知しなければなりません。通知を怠ると、原則として責任を追及できなくなります。
ただし、数量や権利に関する不適合についてはこの制限が適用されず、一般的な時効(5年または10年)が基準となります。売主が不適合を知りながら告げなかった場合も同様です。
とはいえ証拠は時間が経つほど保全するのが難しくなってしまうため、不備に気づいた段階ですぐ証拠集めに取りかかり、速やかに売主へ通知することが重要です。
不備の内容によっても対応方法が変わりますし、売主が免責特約を主張してくるケースもありますので、弁護士に対応をご依頼いただき状況を確認しながら対処することをおすすめします。
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吉岡 正太郎Yoshioka Shotaro
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- 学習院大学法学部法学科卒業
- 日本大学法科大学院修了
- アーチ日本橋法律事務所開設
事務所概要
Office Overview
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|---|---|
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