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強制退去の条件とは?流れも合わせて解説

賃貸住宅で賃借人が家賃を滞納するなど賃貸契約違反を起こした場合、賃貸人は強制退去を行うことができます。しかし、いきなり追い出すことはできず、様々な手順を経て行われます。今回は、強制退去になる条件と、強制退去までの流れを解説しましょう。

強制退去とは

強制退去とはアパートなど賃貸で部屋を借りている人(賃借人)を事情により、法的な強制力をもって部屋を退去させる方法です。

部屋を貸している人(賃貸人)が、どうしても賃借人に貸していた部屋から追い出したいときに行なう最終手段です。

強制退去できるのは契約解除から4か月後

追い出したいと思ってもすぐに強制退去できるものではありません。詳しい流れは後で詳しく紹介しますが、強制退去になるまでには、複数の手順を踏んだうえで行なわれるものだからです。ケースによって多少の違いはありますが、一般的には最低4か月かかります。

仮に賃借人が裁判で争う場合はもっとかかることもあります。

実力行使は犯罪になる恐れがある

注意したいのは、賃貸人が部屋の所有者だから賃借人を簡単に追い出せるわけではありません。家賃を払わないからという理由で強制退去を命じるにしても、勝手に荷物を外に出すようなことをするのは犯罪行為で「器物損壊罪」や「住居侵入罪」に問われる恐れがあります。

一方的な鍵の取り換えや賃貸人が賃借人の部屋に居座る行為も犯罪になる場合があるので注意しましょう。

強制退去になる理由とは

強制退去になる理由は主に次の6つの種類があります。

 

家賃の滞納が数ヶ月分になっている

繰り返して騒音トラブルを起こしている

部屋を契約者以外の人に又貸した場合

無断でペットを飼っている

銀行からの取引停止処分を受けた

賃貸人と賃借人の信頼関係の破綻

 

それぞれの理由を詳しく確認していきましょう。

家賃の滞納が数ヶ月分になっている

強制退去になる最も多いパターンです。毎月払うべき家賃を滞納すると強制退去の対象になります。1・2か月程度の滞納であれば大目に見てもらえる可能性はありますが、数か月も滞納するとなれば、家賃を払う見込みがないと判断され、管理会社からの督促にも応じない場合は契約違反となり強制退去の手続きが取られます。

繰り返して騒音トラブルを起こしている

アパートなどの集合住宅の場合は、壁を挟んで別の賃借人が住んでいます。夜遅くまで騒いだり、音楽をかけるような騒音問題は近隣トラブルの元になります。注意しても繰り返し騒音トラブルを起こした場合は強制退去が命じられる恐れがあります。

部屋を契約者以外の人に又貸した場合

賃貸住宅の契約内容は、通常部屋に住む人が決められていて、家族が増えるなどの理由があれば貸借人は賃貸人に報告する事が義務付けられていることがあります。それをせずに別の家族が住むようになったり、あるいは友達などに又貸しをしたりすると、契約違反とみなされ強制退去の対象になる場合があります。

無断でペットを飼っている

集合住宅によりますが、ペット禁止あるいはペットを飼うことを報告するのを条件としているところがあります。にも関わらずにペットを飼った場合は、契約違反になります。最悪強制退去の対象になります。

銀行からの取引停止処分を受けた

会社の倒産や自己破産などで銀行からの取引停止処分を受けてしまった場合、強制退去になる場合があります。

これは自由に使えるお金が無いことから家賃が払えないとみなされるからです。

但し公営住宅の場合は、もともと収入が低い人向けに貸し出しているので、家賃滞納が無ければ強制退去させられないでしょう。

賃貸人と賃借人の信頼関係の破綻

上記理由以外で、賃貸人と賃借人との信頼関係が破綻してしまえば、賃貸人は賃借人に出て行って欲しいという理由で強制退去の手続きをとる場合があります。

強制退去迄の流れ

強制退去になる理由は主に次の8つの手順の流れで行われます。

 

  1. 電話及び訪問での交渉
  2. 請求書や督促状の送付
  3. 内容証明郵便の送付
  4. 賃借人の連帯保証人に連絡
  5. 賃貸契約解除の決定
  6. 部屋明け渡し請求訴訟
  7. 強制執行の申し立て
  8. 強制退去を執行する

 

詳しく内容を見ていきましょう。

1.電話及び訪問での交渉

通常はいきなり強制退去の手続きをとりません。家賃滞納をしている原因を探るため、賃借人と連絡を取って交渉することから始まります。

2.請求書や督促状の送付

電話や訪問での交渉に応じない場合は、書面で請求書や督促状を送ります。

3.内容証明郵便の送付

通常の封筒ではなく内容証明郵便で送付を試みます。内容表明を受け取ると意思表示の到達とみなされ、訴訟などの立証方法として法的効力を発揮するので、賃借人が家賃の支払いなどに応じる可能性が高まります。

4.賃借人の連帯保証人に連絡

通常賃貸契約には連帯保証人をつける場合が多く、賃借人が家賃を払えない場合は連帯保証人が払う仕組みになっています。

連帯保証人に連絡を取ることで滞納分が回収できることと、賃借人に連帯保証人から家賃を払うように促せます。

5.賃貸契約解除の決定

交渉がすべてうまくいかないとわかれば強制退去の準備を行いますが、先に賃貸契約解除を行います。

賃貸契約解除についても最後通牒として貸借人に連絡しなければなりません。

6.部屋明け渡し請求訴訟

賃貸契約を解除すれば賃借人は部屋を退去しなければなりません。しかし、引き続き居座るのなら、裁判所に申し立てて請求訴訟を行います。

7.強制執行の申し立て

裁判で勝ち、退去命令が出ても賃借人が居座れば、いよいよ強制退去のための申し立てをおこないます。

8.強制退去を執行する

執行官が強制退去を行います。事前に執行断行日を公示する書面を張り付け、当日までに自主退去しなければ執行官が指示を下し賃借人の荷物を運び出し、鍵を新しいものに変えることで強制退去が執行されます。

まとめ

強制退去は、家賃滞納などで賃貸契約違反を起こす賃借人を強制的に追い出す方法です。しかし、いきなり追い出すのではなく細かい手順を踏んで行われます。強制退去に至るまでに様々な交渉を行いながら、賃借人が家賃を払う、あるいは自主的に退去する場合もあるので、強制退去は最終手段として行なわれます。

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  • 東京弁護士会
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  • 法教育委員会
  • 高齢者・障害者の権利に関する特別委員会
  • 犯罪被害者支援委員会
経歴
  • 学習院大学法学部法学科卒業
  • 日本大学法科大学院修了
  • アーチ日本橋法律事務所開設

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