離婚にともなう財産分与
婚姻中は配偶者の給料に頼って生活をしていた場合、離婚後お金がなくて生活が苦しくなることが考えられます。
このような状況にならないために、財産分与を請求することが重要です。
ここでは、離婚に伴う財産分与について解説します。
■財産分与とは
財産分与とは、離婚する際、配偶者の財産をお互いに分けることを指します。
離婚時の財産分与は民法で認められており、退職金も財産分与の対象に該当します。
お互いの感情が先行してしまい、財産分与について、適切な取り決めがなされないまま離婚が成立してしまうということも少なくありません。
また、離婚の原因を作ってしまった方であっても、請求可能とされています。
ただし、離婚後2年以内に請求しないと、請求できなくなってしまうことに注意が必要です。
■財産分与の種類
財産分与には、清算的財産分与と扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の3種類が存在します。
・清算的財産分与
婚姻中に築いた財産をそれぞれの貢献度に応じて公平に分配することを清算的財産分与と言います。
法律で定められているわけではありませんが、裁判所の判決を見ると、基本的に共有財産の割合は、1/2とする考え方が一般的です。
基本的にこの割合が変更されることはありませんが、ケースによってはどちらか片方の貢献度が大きいと判断され、割合が変更されることもあります。
・扶養的財産分与
共有財産を公平に分配し、他に必要な金銭の支払いがあっても、一方での生活が支障があると判断された場合は、金銭を補充して、離婚後の生活の維持を図るために扶養的財産分与が存在します。
これに関しては、義務ではないため、夫婦間の合意で取り決めがなされたり、裁判所で片方の離婚後の生活の維持がどれだけ難しいかなどを考慮して、取り決めがなされたりします。
・慰謝料的財産分与
片方に慰謝料の支払い義務がある場合、その分を考慮したうえで財産分与を行うことを、慰謝料的財産分与と呼びます。
基本的に慰謝料を支払うことで完結するため、慰謝料的財産分与が行われるケースはあまりありません。
協議離婚において、慰謝料の名目を明確に定めないような場合に、行われることがあります。
■財産分与の請求期限
財産分与には、請求期限が存在し、期限を過ぎてしまった場合、権利が消滅してしまいますが、除斥期間が過ぎても、財産分与ができるケースが存在します。
財産分与は、離婚時に行うことが一般的です。
しかし、離婚が成立してから2年以内であれば、離婚後であっても財産分与を請求することが可能です。
離婚の成立から2年間を除斥期間と言います。
除斥は、時効とは異なり、一定の期間を経過してしまうと、権利が消滅し、中断することはできません。
そのため、この除斥期間を過ぎてしまうと、相手が応じてくれない限り請求はできなくなります。
財産分与についての話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てれば、期間を伸ばすことができます。
■期限を過ぎても財産分与ができるケース
このように財産分与には、請求期限が存在し、期限を過ぎてしまった場合、権利が消滅してしまいますが、除斥期間が過ぎても財産分与ができるケースが存在します。
・相手方が財産分与に応じるケース
相手方が任意で財産分与に応じた場合、除斥期間である離婚成立から2年間が経過した場合であっても、財産分与を行うことが可能です。
・相手方が財産を隠していた場合
相手方に隠し財産があった場合には、隠し財産の引き渡しが可能であるとされています。
相手に隠し財産があった場合、除斥期間を過ぎて請求ができないとなると、財産分与したくない側にあまりに都合の良い制度となってしまい、本来財産分与を受け取るべき人が損をすることになります。
このため、相手方に隠し財産があった場合には、離婚後2年が経過した後でも、隠し財産について引き渡し(財産分与)を求めることができるとされています。
以上が、離婚に伴う財産分与の説明になります。
財産分与を受け取ることは、夫婦が協力して形成した財産という観点から生じる権利であり、離婚後の生活を安定させるためにも重要なものです。
そのため、お困りの際は専門家に相談することをおすすめします。
アーチ日本橋法律事務所は、中央区、港区、目黒区、千代田区を中心に東京都で幅広く活動しております。
初回相談は無料で承っており、 事前予約で休日・時間外も対応可能です。
離婚や財産分与でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
離婚調停の期間|全体...
夫婦間で離婚についての話し合いがまとまらない場合、離婚調停の申立てを検討していくこととなります。離婚調停は、どのような流れでどれくらいの期間行われるものなのでしょうか。本稿では、離婚調停の流れや期間について詳しく解説して […]
-
不動産売買トラブル
不動産というよりも売買契約におけるトラブルの類型として、契約不適合責任というものがあります。契約不適合責任とは、当初の売買契約の内容とは適合しない、すなわち目的物に何かしらの瑕疵(トラブル)があり、契約の内容を達成できな […]
-
任意売却
マイホームを購入する際には想定できなかったアクシデント等が発生し、住宅ローンの支払いが難しくなってしまい、マイホームの売却を検討されている方の悩みとしては、ローンを滞納している場合に売れないのではないかという心配があるで […]
-
親権と監護権とは
離婚によって、子どもの生活環境は大きく変わります。そのため、離婚時にはお金の話だけでなく、親権や監護権など子どもの利益についても、適切に取り決めする必要があります。ここでは、親権と監護権についてご紹介します。 […]
-
共有不動産の分割
共有とは、2人以上で不動産を所有している状態を指します。そして共有者のひとりが共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいます。 共有物分割請求が提起された場合には、判決に強制力が伴うため、共有権を否定され […]
-
家賃滞納
現在賃貸借契約によって、賃貸中の不動産をお持ちの方で、借主が家賃を支払わずに困っているという方がいらっしゃると思います。 このような場合に、貸主としては借主に対してどのような措置をとることができるのかを知りたい […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
資格者紹介
Staff
吉岡 正太郎Yoshioka Shotaro
離婚、不動産トラブルのご相談はアーチ日本橋法律事務所にお任せ下さい。
アーチ日本橋法律事務所は、皆様にとって本当の意味での「市民に身近な弁護士」が具体的に実現できるよう、
・個人向け顧問契約「マイ・ロイヤー~月額5000円」(税別)
・企業向け顧問契約「予防法務プラン」
をご提供することで、市民が法的サービスに接しやすい社会を強力に実現して参ります。
※各顧問契約については、全国各地域の皆様にご加入頂けます。詳細についてはお問合せください。
- 所属団体
-
- 東京弁護士会
- 第二東京弁護士会
- 法教育委員会
- 高齢者・障害者の権利に関する特別委員会
- 犯罪被害者支援委員会
- 経歴
-
- 学習院大学法学部法学科卒業
- 日本大学法科大学院修了
- アーチ日本橋法律事務所開設
事務所概要
Office Overview
名称 | アーチ日本橋法律事務所 |
---|---|
代表者 | 吉岡 正太郎(よしおか しょうたろう) |
所在地 | 〒104-0031 東京都中央区京橋1-1-9 千疋屋ビル4階 |
連絡先 | TEL:03-6265-1535 / FAx:03-6265-1537 |
対応時間 | 平日10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能です) |
アクセス | JR「東京」駅 八重洲中央口徒歩5分 (八重洲地下街を通れば雨にも濡れません) 八重洲地下街からお越しの方は八重洲地下街24番出口を上がり右にお進みください。 銀座線「京橋」駅 7番出口 徒歩4分 銀座線・ 東西線・都営浅草線「日本橋」駅 B3出口 徒歩5分 都営浅草線「宝町」駅 A6出口 徒歩7分 |