調停離婚の流れと協議離婚との違いを解説
離婚する夫婦の多くは、協議か調停で離婚を成立させています。
協議離婚は夫婦の話し合いで離婚条件を決めるのに対し、調停離婚は家庭裁判所の調停委員を交えて話し合いを進めていきます。
ここでは、調停離婚の流れと協議離婚との違いについて詳しく解説するとともに、調停を有利に進めるためのポイントについてもご紹介いたします。
協議離婚と調停離婚の違い
協議離婚と調停離婚の大きな違いは、家庭裁判所の関与の有無です。
協議離婚は夫婦二人の話し合いで離婚条件を決めるのに対し、調停離婚では家庭裁判所の調停委員が間に入り、話し合いを進めていきます。
協議離婚のメリットとデメリット
協議離婚のメリットは、手続きが簡単で費用がかからないことです。
離婚届を提出するだけで離婚が成立します。
一方、デメリットは、夫婦の話し合いがまとまらない場合、離婚が成立しないことです。
また、離婚後のトラブルを防ぐ法的な担保がないことも欠点と言えます。
調停離婚のメリットとデメリット
調停離婚のメリットは、調停委員が公平な立場で話し合いを進めてくれることです。
また、離婚条件に法的拘束力が生まれます。
デメリットは、手続きに時間がかかることと、費用がかかることです。
ただし、弁護士に依頼することで、スムーズに進められる可能性が高まります。
調停離婚の流れ
調停離婚の流れは以下の通りです。
- 調停の申立て
- 調停期日の決定
- 調停の開始
- 合意に向けての話し合い
- 調停調書の作成
- 離婚の成立
調停の申立て
まず、夫婦のどちらかが家庭裁判所に調停を申し立てます。
申立書には、離婚の理由や希望する離婚条件などを記載します。
申立ては、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行うのが一般的ですが、夫婦間で合意できれば、他の家庭裁判所でも可能です。
調停期日の決定
家庭裁判所は、申立書を受理すると、調停期日を決定します。
調停期日は、申立てから1〜2ヶ月後に設定されることが多いです。
期日の通知は、呼出状という形で双方に郵送されます。
調停の開始
調停期日になると、夫婦は家庭裁判所に出頭します。
調停委員が夫婦の話を聞き、離婚条件について話し合いを進めていきます。
調停委員は、双方の主張を公平に聞き、合意形成に向けて尽力します。
合意に向けての話し合い
調停委員は、夫婦の主張を聞き、双方が納得できる離婚条件を見出すために尽力します。
子どもの親権や養育費、財産分与などが話し合いの対象となります。
話し合いは、一度で終結することはあまりなく複数回にわたって行われるのが一般的です。
調停調書の作成
話し合いがまとまると、合意した内容を記載した調停調書が作成されます。
調停調書は、裁判所の正式な文書であり、法的拘束力を持ちます。
調停調書には、離婚の合意だけでなく、親権者、養育費、面会交流、財産分与などの取り決めが記載されます。
離婚の成立
調停調書に基づいて、離婚届が作成されます。
離婚届を市区町村に提出することで、離婚が成立します。
離婚届の提出は、調停成立から10日以内に行う必要があります。
調停離婚を有利に進めるポイント
調停離婚を有利に進めるためには、以下のようなポイントに注意しましょう。
主張したいことは陳述書などの書面にまとめる
調停では、限られた時間の中で自分の主張を伝える必要があります。
事前に、主張したいことを陳述書などの書面にまとめておくと、効率的に伝えることができます。
また、書面で主張することで、感情的になりすぎるのを防ぐ効果もあります。
慰謝料請求について
慰謝料の請求は、離婚の原因となった相手方の行為の悪質性や、精神的苦痛の程度によって決まります。
請求額が高すぎると、調停委員から非現実的だと判断されてしまうこともあるので、適切な金額を請求することが大切です。
子どもの親権について
子どもの親権は、子どもの利益を最優先に考えて決定されます。
親権を主張する際は、子どもとの関わり方や、子育ての環境などを具体的に説明できるようにしておきましょう。
また、子どもの意思を尊重することも重要です。
弁護士に相談する
調停離婚は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、離婚に関する法律知識を持っており、適切なアドバイスをしてくれるため、弁護士に依頼することで、調停を有利に進められる可能性が高まります。
調停離婚の注意点
調停離婚を進める上での注意点は以下の通りです。
呼び出しを無視しない
配偶者が離婚調停を申し立てて呼出状が届いたら、たとえ離婚に応じたくなくても、無視してはいけません。
調停に出席しない場合、調停は不成立となり、離婚裁判を起こされる可能性があります。
また、正当な理由なく欠席すると、過料の制裁を受ける場合もあります。
財産分与は公平に
財産分与は、夫婦で築いた財産を公平に分けることが原則です。
ただし、結婚期間や子どもの有無、収入の差などを考慮して、柔軟に対応することも必要です。
財産分与の対象となる財産は、動産、不動産、預貯金、保険、年金などです。
感情的にならない
離婚調停では、感情的になりすぎないことが大切です。
相手を非難したり、感情的な言動をとったりすると、調停委員の心証を悪くしてしまいます。
冷静に、事実に基づいて主張することを心がけましょう。
まとめ
調停離婚は、家庭裁判所の調停委員を交えて離婚条件を決める方法です。
協議離婚と比べると手続きに時間がかかりますが、公平な立場で話し合いを進めてくれるメリットがあります。
離婚は人生の大きな岐路です。専門家のアドバイスを受けながら、よく考えて決断することが重要です。
調停離婚を検討している方は、この記事を参考に、適切な行動を取っていただければと思います。
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