立ち退きの流れについて注意点も合わせて解説
賃貸している土地や建物から賃借人に立ち退いてもらいたくても、交渉が難航することがあります。
立ち退きには、賃貸人の都合によるものと賃借人の契約義務違反を理由するものの2つがありますが、どちらのパターンでも、法的な手続きが必要になることがあります。
立ち退きをスムーズに進めるためには、早めに弁護士に相談することが大切です。
立ち退きを求めるケース
賃借人に対して、賃貸物件からの立ち退きを求めるケースは、主に2つです。
- 賃貸人の都合により立ち退きを求めるケース
- 賃借人の契約義務違反を理由に立ち退きを求めるケース
賃貸人の都合により立ち退きを求めるケースは、賃貸人自身が建物を利用する必要がある場合や建物の建替え等が必要になったために、賃借人に立ち退いて貰う場合です。
この場合は、賃貸人からお願いする形になるため、立ち退き料の支払いが必要になります。
賃借人の契約義務違反を理由に立ち退きを求めるケースは、賃借人に家賃の滞納、無断転貸、用法遵守義務違反などがあり、賃貸借契約を解除して立ち退きを求める場合です。
この場合は、立ち退き料を支払う必要はありません。
賃貸人の都合により立ち退きを求める場合の流れ
賃貸人の都合により立ち退きを求める場合は、賃貸人から賃借人に対して、立ち退きを求める理由を説明して、相談する形で交渉を進めます。
賃貸人から立ち退きを求める理由を説明する
土地と建物のどちらからの立ち退きを求めるにしても、正当の事由が必要とされています。
正当な事由があるかどうかは、土地・建物の使用を必要とする事情、契約の経過、利用状況並びに立ち退き料を考慮して判断されます。
賃借人の事情を確認する
賃借人の事情を聞き、立ち退きに応じられる状況にあるか確認します。
仕事や学校など、様々な事情があり、直ちに立ち退くことが難しい場合は、考慮が必要ですし、他の賃貸物件を紹介すると言ったサポートも必要になります。
立ち退き時期、立退料、敷金について話し合う
賃借人が立ち退きに応じてくれる場合は、立ち退き時期、立退料、敷金について具体的な交渉に入ります。
立退料については一般的には、「移転先の賃料の6ヶ月分+引っ越し代」といった金額が相場とされています。
話し合って決めた内容については、覚書などの形で文書化したうえで、双方が署名するのが望ましいです。
賃借人が立ち退きに応じない場合は?
賃借人が立ち退きに応じない場合は、裁判手続きを利用することも検討します。
具体的には、簡易裁判所に民事調停の申立を行い、調停委員を交えた話し合いの中で解決策を探ります。
調停で話し合いがまとまったときは、和解調書が作成されるため、これに基づいて立ち退きを求められるようになります。
民事調停で解決できない場合は、訴訟を提起することも可能です。
賃借人の契約義務違反を理由に立ち退きを求める場合の流れ
賃借人の家賃滞納等を理由に立ち退きを求める場合は、賃貸借契約義務違反を理由に契約解除したうえで、立ち退きを求める流れになります。
滞納家賃等の催促を行う
家賃を1ヶ月分滞納しただけで直ちに、立ち退きを求められるわけではありません。
おおむね、3ヶ月分家賃を滞納するようになったら、督促状を送付するなどして、滞納家賃の支払いを強く求めます。
内容証明郵便を送付する
督促状を送付しても滞納家賃を支払わない場合は、内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便には、滞納家賃の額と支払い期日を明記し、支払いがない場合は、賃貸借契約を解除する旨を記載します。
内容証明郵便に対しても反応がない場合は、この時点で、賃貸借契約が解除されたことになります。
明け渡し請求訴訟を提起する
内容証明郵便により、賃貸借契約を解除することで、賃借人は不法占拠者になります。
明け渡し請求訴訟を提起して、督促状や内容証明郵便等の証拠書類を提出することにより、勝訴判決を得ることが可能になります。
被告側が口頭弁論に出頭した場合は、裁判官が和解を勧告することもあります。
勝訴すれば確定判決、和解が成立すれば和解調書に基づいて、強制執行(強制退去)が可能となります。
強制執行(強制退去)の申立
確定判決や和解調書を債務名義として、裁判所に対して強制執行(強制退去)の申立を行います。
強制執行については、執行官が手配してくれますから、強制的な立ち退きが行われるのを見守るだけです。
まとめ
賃貸物件から賃借人に立ち退いてもらう理由が、賃貸人の都合、賃借人の家賃滞納のどちらでも、交渉がうまく行かない場合は、裁判手続きに頼らざるを得ません。
強制執行等の手続きを取らなければならない場合は、賃貸人側にも一定の費用負担が生じてしまいますし、立ち退き完了まで長い時間がかかってしまいます。
早い段階で弁護士に相談し、代理で交渉しもらえば、早期に立ち退きが完了し、結果として費用も少なく済むこともあります。
立ち退きに関してお悩みの方は、早めに弁護士にご相談ください。
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