父親が親権を獲得するにはどうしたらいい?
弁護士は円滑な離婚に向けて、困ったことを相談できる最も頼りになるパートナーです。
親権の獲得を願う父親の中には、どうすれば親権を獲得できるのか重要なポイントを知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では父親が親権を獲得するために重要なポイントを解説しています。
親権とは
親権とは、未成年の子どもの利益保護を目的に、子どもの生活に必要な金銭面や精神面などの監督や保護及び教育(監護・養育)する権利であると同時に義務であります。
婚姻中は夫婦が共同行使している子どもの親権ですが、離婚後には親権を行使できるのは父母のどちらかです。
親権は原則としては父母が話し合い親権者を決定しますが、一般的に以下の3つの方法があります。
夫婦での話し合い
まずは、離婚に向けて夫婦間で話し合います。
養育費や慰謝料、財産分与が未確定でも離婚はできますが、離婚届には未成年の子どもの親権者欄があり、親権者の選択は離婚成立に必要です。
離婚調停
夫婦間での話し合いで親権者を決定できない場合に利用できるのが、家庭裁判所での「夫婦関係調整調停」です。
双方の言い分や、家庭裁判所調査官の調査により、調停委員が適切な親権者の選択と双方が納得できる解決策を提案し合意を目指します。
離婚裁判
双方で調停内容に納得いかない場合は訴訟に発展し、親権者も含めて争われます。
これまでの子育てにおける様々な事情や、離婚調停時の調査官の調査内容などを加味して、裁判にて親権者が決定します。
父親の親権獲得が一般的に難しいとされている理由
父親が親権者となるのは一般的に難しいとされているのにはいくつかの理由があります。
ここでは3つの主な理由を紹介します。
養育実績が少ない場合が多い
幼少から母親がミルクをあげたり、入浴、おむつの交換をしてあげたりして、日常的に育児に携わる一方、父親は育児を手伝う程度で、母親が育児の主体となる場合が多い傾向にあります。
このように育児に関わってきた実績に明確な差がある場合には、父親の親権獲得が難しくなります。
仕事により監護及び養育が困難
仕事によって、子どもの監護・養育が難しく、子どもの生活環境として好ましくないと判断される場合です。
仕事で朝早くに出勤し、夜遅くに帰宅になると、子どもの幼稚園の送り迎えが難しい、小学生になっても家でひとりきりで放置する時間が長くなります。
このような場合では、子どもの監護・養育ができないと判断され、親権獲得に不利となります。
幼い子供には母親が優先される傾向にある
父親の親権獲得が難しいとされる大きな理由の一因として、子育ては母親がすべきとする「母性優先の原則」が現在においても調停委員や裁判官においても優先される傾向にあります。
子どもが小さいほど、母親の存在が重要と考えられる傾向が強くなります。
父親が親権を獲得するために押さえるポイント
一般的には親権の獲得が難しいとされる父親ですが、婚姻中や離婚後の状況次第で親権獲得の可能性を高める事は可能です。
親権獲得のために押さえるべきポイントを3つ紹介いたします。
養育実績
養育実績は婚姻中に、どれだけ育児へ積極的に携わってきたかが問われます。
親権者を判断する際、過去の養育実績が重視される傾向にあります。
日頃から子どもとの関わりを意識し、信頼関係の構築と共に、好き嫌いや病歴、予防接種の有無など子どもの状態の把握が非常に大切です。
離婚後の子育て環境を整える
婚姻中だけでなく離婚後の子育て環境(監護体制)も重要です。
離婚後に父親と子どもとの生活となった際に、どれだけ子どもと会話ができ、生活や教育に携われるかも、裁判所の判断項目の1つとなります。
親権の獲得には収入よりも子どもと過ごせる時間が重要視されるため、子どもと過ごせる時間の確保のために仕事を時短にしてでも、時間を作ることが重要です。
しかし、子どもの十分な教育や生活環境を確保するためには収入も必要なため、ずっと子育てに時間を使うのは現実的ではありません。
そのため、祖父母の近くに住み育児に協力してもらえる環境づくりと、協力者をリストアップも重要となります。
親権者にふさわしい具体的な証拠を集める
離婚裁判まで発展した場合には、具体的な証拠が必要となります。
そのため養育実績を写真や日記に残したり、幼稚園や習い事の送り迎えも行うなど、第三者にも子育てに関わっていた印象が残るように、証拠を残す努力が日頃から求められます。
また、母親が親権者にふさわしくない要因があれば、証明できる証拠の収集も非常に有効です。
母親が子どもを虐待している動画や音声、病院の診断書をもらうなどが挙げられます。
まとめ
父親の親権獲得は一般的に難しいとされていますが、婚姻中からの取り組みや離婚後の対応によって可能性を高めることはできます。
しかし、法改正により今後2年以内に、離婚後であっても共同親権が選択可能となるため、親権争いを取り巻く環境が大きく変わります。
父母や子にとって、ベストな選択肢を導き出すためにも、離婚に強い弁護士への相談がおすすめです。
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